目次
独特のメリットを持っている免疫療法とは
免疫療法の特徴
三大癌治療が外部からの力につまり手術、抗がん剤、放射線などの力を借りてがん細胞を除去することによって治療するのに対して免疫療法の場合には、主に本来人間の体は持っている免疫力を生かすことによってがん細胞と闘う治療法なのです。
免疫療法の場合には、他のがん治療法ほど即効性がない場合もありますが、その効果は長期間持続することが特徴として挙げられます。これは免疫療法の最大のメリットでもあるのです。
免疫療法とは前述のように自分自身の体は持っている免疫力を活用した治療法ですのですが、体力があって免疫力の働きも衰えていない状況であるような元の早い段階で活用する、より高い効果があることもわかっています。
ままた樹状細胞ワクチン療法やペプチドワクチン療法などの1部の免疫療法では他のがん治療方法に比べても副作用が少ないことがメリットでもあるのです。
この免疫療法は手術、抗がん剤療法、放射線療法といった従来からの治療方法と組み合わせて同時に治療を行うこともできるのです。
1,990年代までの免疫療法では、非特異性が免疫療法と言われていて、体全体の免疫機能を底上げすることによって癌細胞と闘うことを目的としたものでしたが、それまでに開発されたどの免疫療法でも進行癌に対しては、単独での有効性を証明することができていませんでした。
ところが 1990年代に入ってから免疫細胞ががん細胞を攻撃するメカニズムが改名されたため、正常な細胞に影響を与えることなくがん細胞だけを攻撃するといういわゆる特異的免疫療法が医療の現場にも取り入れられるようになりました。
つまり免疫療法は体全体の免疫力の活性化しかできなかったような、非特異性がん免疫療法からがん細胞に特化して攻撃ができる免疫力を高めることによってより効果的にかつ効率的にがん細胞を消滅させる作用のある特異的がん免疫療法に発展したわけです。
さらに免疫応答を抑える分子の働きが徐々に解明されてきたことに伴い 21世紀のがん免疫療法は飛躍的に進化したのです。
各種免疫治療法の併用
がん免疫療法には大きく分けると、2つの方法があります。一つは癌細胞を攻撃することによって免疫応答を亢進するという名目細胞の特徴を活かした治療で、いわばアクセルを踏むような癌治療方法だともいえます。
もう一つは免疫応答抑える分子の作用を妨げることによる癌治療方法で例えるならブレーキを外すような治療方法なのです。
免疫細胞の機能を高めることによって癌に対する攻撃力を強化する前者の治療方法の代表的なものとしては樹状細胞ワクチン療法というがん治療方法があるのです。
この癌治療方法は、生体内において樹状細胞はがん細胞から目印を取り込んでそれをリンパ球に伝えることによってがん細胞を攻撃させるという免疫システムを活用したものです。
後者の代表的なものとしてはオプジーボ、キートルーダ、ヤーボイなどの免疫チェックポイント阻害剤というものです。
これらのがん治療方法は直接がん細胞を攻撃するわけではなくがん細胞を攻撃するキー型リンパ球にブレーキをかけてしまう分子の働きを妨害することにより型リンパ球にがん細胞を積極的に攻撃するという治療方法です。
この方法によりT型リンパ球はがん細胞に対する本来の攻撃力を取り戻し抗腫瘍効果を発揮させるようにするわけです。
がんの免疫療法の場合、アクセルを踏むというような治療とブレーキを外すという治療を併用することによって、その効果は高まる可能性があると考えられており今後の研究に期待がされています。
例えば抗PD-1抗体薬であれば顔を攻撃するT型リンパ球が元の細胞組織に浸透しているときに、その効果を発揮するのです。そのT型リンパ球を作り出すことができるのが、樹状細胞ワクチン療法という免疫療法なのです。
この樹状細胞ワクチン療法ではまずがん細胞を攻撃するT型リンパ球を体内に生成させることが元の免疫療法を成功させることの重要なポイントになると考えられています。
癌と免疫の深い関係
私たち人間の体は免疫細胞群による非常に緻密な連動により病原菌やウイルス等の外敵から守られているのです。
免疫細胞群は外から体内に侵入してきたウイルスや細菌などにり起こる体内の異常を監視しており、異物を感知した場合には、その異物を破壊して排除するのです。
細胞の中には遺伝情報を保持しているDNAが存在しています。このDNAは何らかの要因で変容を押してしまったり、多少傷ついても修復され、元に戻ったりアポトーシスを誘導したりして自滅するのです。
しかし、稀にきちんと修復はされない場合があり、その結果、無秩序に細胞分裂が発生し、増殖をしてしまう細胞が出てくるのです。
このように無秩序に増加してしまい、コントロール能力を失った細胞のことを私たちは「癌細胞」と呼んでいるのです。このように無秩序に増殖した癌細胞は正常な細胞に対しても悪影響を与えてしまい、健康を害してしまうのです。
正常な細胞が癌細胞化するというような現象は特に珍しい現象では無いのです。実は、健康な人でも体内では毎日のように起こっているような現象なのです。
しかし、免疫細胞群がその癌化細胞を「正常では無い」と認識して排除してしまうため、大きながんに育ってしまうことがほとんどないのです。人間の免疫システムの作用である癌化で細胞に対する攻撃はナチュラルキラー細胞が特に優れているのです。
初期の数が少ないがん細胞の場合には、そのほとんどがこのナチュラルキラー細胞によって排除されてしまうのです。
またこのナチュラルキラー細胞の間を攻撃する力よりもがん細胞の増殖する能力が勝っているようなときでも免疫細胞群はウイルスや細菌といったような外敵だけではなく並行してがんという病気から私たちの体を守ってくれているのです。
このように人間の免疫システムはがん細胞を排除してくれるのですが、がん細胞自体も増殖をするために、様々な手段を使って免疫細胞からの攻撃を回避しようと試みるのです。
例えば免疫細胞に異常細胞として見つかってしまうと、その免疫細胞から攻撃されてしまうため、正常細胞の「フリ」をすることによって免疫細胞からの攻撃を逃れようとするのです。
そもそもがん細胞というものは、正常細胞が変質して生成する細胞であるため、免疫細胞群からみても、正常細胞なのか、そうでないのか見抜くことが難しいのです。
そのため、見逃してしまい、攻撃の機会を逃してしまうようなことも多々存在するのです。その一方でがん細胞には際立った目印も存在します。
この目印をターゲットにして免疫細胞にがん細胞を攻撃させるような免疫療法のことを特異的免疫療法と呼んでいます。
免疫細胞の種類と作用
白血球は人間の体の中に侵入してきたウイルスや細菌などから常時命を守り続ける免疫細胞なのです。人間の体の中では様々な免疫細胞群(白血球の仲間)などがは常に連携をし、外部から入ってくる異物と闘っているのです。
例えば樹状細胞というものです。
これは外気に触れる鼻腔や肺や胃、腸管、および皮膚などに存在している細胞なのです。この細胞は、その名の通り樹状突起を伸ばす形態がその特徴です。
この樹状細胞は外部から入ってきた異物を自分の細胞の中に取り込み、その異物の抗原を他の免疫細胞に伝える作用があるのです。
実際には抗原に取り込んだ樹状細胞はリンパ節やリンパ器官などに移動し、T型細胞やB型細胞にその抗原情報を伝達することにより、それらの免疫細胞を活性化させるのです。そのように活性化されたT型細胞やB型細胞はその外部から入ってきた異物を攻撃するのです。
またマクロファージはアメーバ状の細胞です。このマクロファージは人間の体の中に侵入してきた異物を発見すると自分の中に取り込んで消化してしまうのです。
また 一部のマクロファージの場合にはその異物の特徴(抗原)を細胞の表面に出してしまうことによって体の中に外敵が存在していることを他の免疫細胞にも伝えるのです。
その他にも他の免疫性と共同でTNF-α、インターロイキンやインターフェロンなどの免疫細胞を活性化させることができるサイトカインという物質の生成にも関与しているのです。
免疫細胞をが活性化するにあたってリンパ球の役割も大切なのです。特にT細胞の場合はウイルスなどに感染した細胞を見つけ、排除する作用があります。
T細胞にはヘルパーT細胞、キラーT細胞、生女性T細胞という3種類のT細胞があります。それぞれに司令塔の役割や殺し屋の役割、ストッパー、クローザーといった役割があるのです。
その中でもキラーT細胞役割は重要なのです。このキラーT細胞は樹状細胞から抗原情報を受け取ったらウイルスに感染した細胞やがん細胞などに取り付いて排除してしまうといういわゆる殺し屋の作用をするのです。
もう一つヘルパーT細胞というものは樹状細胞やマクロファージから異物の情報を受け取るとサイトカインなどと一緒に免疫活性化物質などを生成して異物に対する攻撃の戦略を立て指令を出すのです。
そして制御にT細胞というのはキラーT細胞などが正常な細胞にまで攻撃をしないようにするため、キラーT細胞の採用を抑制したり、免疫反応自体を終了に導くというストッパー、いわゆるクローザーの役割をするのです。
次にB細胞ですが、このB細胞は抗体を生成する免疫細胞なのです。血液のベースとなる細胞である造血幹細胞から作られ、樹状細胞からの指令を受けた際に外敵や異物だけを攻撃する抗体を生成することにより異物排除のサポートをします。
またこのB細胞は細胞、別に生成する抗体の種類が決まっているため、B細胞が生成できる抗体に見合った外敵が侵入してきた場合のみ活性化して抗体を生成するのです。
次にナチュラルキラー細胞、よく言うNK細胞というものです。
このNK細胞は常時人間の体の中をパトロールしており、ウイルスに感染してしまったような細胞を見つけるとNK細胞単独で攻撃を仕掛けるのです。
このNK細胞はt細胞とは違い、他からの指示を必要とせず単独で外敵や異物を攻撃することができるため、ナチュラルキラー(生まれつきの殺し屋)細胞とも言われています。
樹状細胞の働き
人間の体内に侵入したウイルスが感染した細胞やがん化した細胞などは人間にとっては異物として免疫細胞に発見され排除されます。その時に免疫細胞はそれぞれの作業を分担しながら、緻密に連携をしながら働いているのです。
例えばがん細胞を発見して、その情報を伝達する免疫細胞やその細胞を攻撃する免疫細胞てんそして仲間の細胞を元気づける免疫細胞などが存在しています。
樹状細胞というのはそのような中で司令塔のような役割を果たしている非常に大切な細胞なのです。この樹状細胞はがん細胞に出会うと、そのがん細胞を食べてしまい、その断片を自ら樹状細胞の表面に付けてリンパ球に対してがん細胞の特徴を伝えます。
そうすることによってリンパ球は癌細胞を識別できるようになるわけです。私たち人間の体の中には毎日、5,000個ほどの細胞ががん細胞になっていると言われています。
しかし、免疫細胞が常にこれらのがん細胞を排除しているため癌は顕在化しないのです。しかし癌細胞というものは自分自身ががん細胞であることを隠すことがあるのです。
そのようにして癌細胞は免疫細胞の講義から上手に逃れてから密かに増殖するのです。このようになってしまった場合は癌細胞に特徴的なターゲットとして癌細胞を攻撃する特異性免疫が抗腫瘍効果をサポートするのです。
具体的には異常細胞が癌細胞の残骸を見つけて食べ、その結果癌細胞の特徴情報を手に入れます。癌細胞の特徴情報を手に入れた樹状細胞は一人前の司令官となり、リンパ球にそのがん細胞の特徴情報を教えてがん細胞を攻撃するように指示します。
そしてがん細胞の特徴情報を教わったリンパ球はがん細胞を攻撃するのです。
自分の免疫細胞を使う免疫療法
一般的には健康な人でも一日に数千個以上の異常細胞が生成されます。
しかしその異常細胞が必ず癌細胞になる訳では無いのです。その理由は身体に免疫システムが常時監視している為、それが免疫療法にもなり癌が発症を防止するのです。
その仕組み
人間の身体には生まれながらにして自己と自己でないものを区別して、自己でないものは食べたり殺したりするという能力が備わっているのです。
風邪のウイルスや花粉ほこり等の自己でない異物が体の中に侵入しようとすることを防いだり、侵入してしまったものを排除しようとしたりして、人間の体はそれらの異物によって侵食されないようにしています。この能力を免疫システムといいます。
この能力は主に血液中の白血球がその役割を担っているのです。そのため体の中に発生する癌のもとになる異常細胞もこの免疫システムになって排除されているのです。
癌細胞には正常細胞と異なるタンパク質を持っています。これを癌抗原といいます。このがん抗原は常に細胞表面に出ているため、これを胞傷害性T細胞(CTL)が「癌の目印」として認識することによって、免疫システムが癌細胞に対して攻撃をするのです。
この仕組みを活用した癌の治療方法免疫療法といいます。またこの免疫療法の場合、癌の目印を認識して、胞傷害性T細胞(CTL)に対して攻撃をするように指令を出す細胞としてヘルパーT細胞が大切な役割を果たしているのです。
しかし、中にはそのような攻撃を潜り抜けようとして癌細胞としての目印自体を細胞の表面には出さないあるいはその目印を出す量を少なくするような癌細胞も存在するのです。
そのような癌細胞に対しては、感染防御の役割をしているNK細胞がそのような癌細胞に対して攻撃を加えるのです。
このNK細胞は非常に強い細胞殺傷能力を持っていますので、間違えて自分自身の正常細胞を攻撃しないようにするため、自己の正常細胞は自己の標識を出すことによってNK細胞からの攻撃を抑えているのです。
この目印を出さない癌細胞からは自己の標識さえも外れてしまうため、これらの癌細胞に対してNK細胞はその高い殺傷能力を発揮できるようになるわけです。
このような免疫療法に使う抗体医薬品が癌に効く仕組みとしては、このようなADCC活性が知られているのです。
ANK療法
ANK免疫療法とはまず、患者の血液を5リットルから8リットル程度の量体の外に循環させて、さらにリンパ球を分離して飛び出して、残りの血液成分の大部分をすぐに体内に戻します。
そこで採取されたリンパ球はその日のうちに培養センターに運ばれリンパ球の中に1部含まれているがん細胞を破壊する能力が非常に高いNK細胞を活性化しながら、それと同時にNK細胞だけを増殖させて、敵によって体内に戻すという免疫療法なのです。
この点滴によって体内に戻されたANK細胞は直接体内の癌細胞を破壊します。そして体内で免疫療法にとって大切な免疫刺激系のサイトカインを大量に放出します。
そうして体内で稼いだにしているたくさんのNK細胞の活性化を促進するのです。そのようにして活性化されたNK細胞に誘導されることによってT細胞の3種の活性化されるため、がん細胞への攻撃に加わるのです。
NK細胞という細胞は活性が高ければ、どんな癌細胞でも破壊してしまいます。これまで高度に活性化されたのNK細胞に破壊されないがん細胞は発見されていません。
活性が高いNK細胞は細胞の中に多くの「爆弾」抱えているため、素早く癌細胞を破壊してしまいます。その攻撃力は他の免疫細胞さえも寄せ付けないのです。
このANK療法の問題点
NK療法は現在、注目を浴びつつある癌の免疫療法ですが、それでも未だに医療現場においてはこのANK療法に対して、一般的には懐疑的な医師が多いのです。
これまでも確かに癌の免疫療法に対しては決して高い評価を得られてきた訳ではありません。なぜなら、治療の有効性が低いというのがその理由なのです。
確かに全体の癌の治療方法からみればその通りなのです。しかしそのような批判にもいくつかの問題点はあるのです。
一つはこれまでの免疫療法は医者や癌患者の癌の治療方法の中にはほとんど入っていなかったということが現実であったため、他のどの治療方法であっても聞かなくなってしまったような状態という事があります。
つまり癌の末期になって初めて免疫療法は試される場合が多かったこともあるのです。このようなことでは免疫療法は有効性が高い状態になることはなかなか無かったのです。
様々な免疫療法をがんの発症前、発症後 、そしては手術後の癌の再発予防などのより早期の段階で積極的に免疫療法を使われていれば、その評価も変わっていただろうとも思われます。
そのため、現在注目を浴び始めた免疫療法だからこそ、今後、そのような早期の段階で免疫療法が積極的に活用されるようになれば、その評価も変わってくるものと思われるのです。
例えばがんの三大療法を完了することで癌が完治したと考えられ、退院したある患者が、数年後にがんが再発して、入院しなければならなくなった時に、本人の選択によってある健康食品との出会いがあり得ます。
その健康食品を服用しながらその後の過酷ともいえる再手術および放射線治療及び抗がん剤治療などを乗り越えさせたのですが、治療中の白血球数は正常値を保っていたのです。
その後 1年以上が経過していますが、今では定期検診でも正常値を保っておりしかも健康に過ごされています。もちろん今もその健康食品を手放すことができないそうですが・・・。
このような事例はあくまでもほんの一例なのですが、この事例から考えられる事は、対処可能な免疫療法を早い段階で試してみる事は、決して無駄ではなく、むしろ有益ではないかと考えられるわけです。
がん免疫とは
私達人間は病気の原因となる様々な病原体等に囲まれて生活しています。また、体の中では癌細胞ができる事があります。しかし、人間が本来持つ免疫(いわゆる免疫療法)が癌を取り除く力があるため私達は健康に過ごす事ができるのです。
免疫とは
私たちがウイルスや細菌などの病気を引き起こす様々な原因に囲まれて生きているにも関わらず、健康的に過ごすことができているのは何故なのでしょうか。
なぜなら、実はその病気を引き起こす原因となっている原因である敵と常に闘い続けて自分の身体を守ってくれている免疫と呼ばれている作用があるためです。
この免疫というものはその担当する。敵と闘うにあたってさまざまな細胞と関わっているのです。この免疫は自分(自己)と自分とは違うもの(非自己)10におけるところから免疫活動がスタートするのです。
人間の体の中には免疫を担当する専門の細胞が存在し、外部から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体あるいは体の中で発生した異常な細胞である癌細胞などと正常な自分では無いものを見つけると、それらを敵とみなして攻撃を仕掛け、体の中から取り除いてしまいます。
このような人間が本来持っている免疫の働きを人工的に活用した治療方法のことを免疫療法というのです。
この免疫療法における免疫には自然免疫と獲得免疫という2種類の免疫で体を守るのです。自然免疫とは免疫を担当する細胞が自らの体の中に敵とみなされるウイルスや細菌などの異物が存在しないかどうかをパトロールを行って、その異物を見つけたときには真っ先にその異物に対して攻撃を仕掛けるのです。
また、自然免疫には、先頭を切って異物に対して攻撃を仕掛けるだけではなく、その異物の情報を次の段階である獲得免疫に、その異物の情報を伝えるという作用があるのです。
つまりパトロールによって獲得した情報を元にして侵入してきた細菌やウイルスあるいは異常細胞である癌細胞に対して攻撃をしなさいという警告をさまざまな細胞に出すという役割もあるのです。
その一方で免疫療法のなかの獲得免疫というものは異物や異常細胞が存在するという情報を自然免疫から受けた時に同じ免疫を担当する細胞を増殖させて非常にたくさんの同じ細胞が異物に対して攻撃を仕掛けるのです。
またこの獲得細胞には自然免疫から得た情報を記憶しておく作用もあるためまた同じ異物が再度侵入してきたり、同じ異常細胞が体の中で発生したときには、まるで指名手配された犯人を捜すかのように記憶した情報を元にして異物や異常細胞を見つけて素早く攻撃を仕掛けるのです。
このような作用を活用した癌の治療方法を免疫療法というのです。
免疫による癌治療の歴史
癌に対する免疫療法の歴史は1890年代に遡ります。
それは外科医であったColey氏が癌患者に対して投与することにより体の免疫反応を活発化することで、体の中の顔を小さくする方法を発見した事からスタートしたのです。
そして1950年代から1970年代になるとBCGやキノコなどから取り出した成分によって作られた非特異的免疫賦活薬という免疫療法のための新薬が開発されました。
それに続けて 1,980年代には人間の体の免疫の働きを刺激する物質としてサイトカインという物質を投与する免疫療法はスタートしました。
また、体に悪影響を与えないようにして洋楽でがん細胞を投与することによってえ免疫力を高めるという癌ワクチン療法という免疫療法なども試みられてきました。
免疫療法とはこのように体の中に体の中に何らかの物質を投与することにより、人間の免疫力を高めるという治療法です。
それだけでなく、人の免疫細胞を体の外に飛び出して増殖させたり癌に対する攻撃力も高めてから人間の体に戻したりするというようなLAK療法(サイトカイン刺激リンパ球を用いた治療法)という養子免疫療法という新しい免疫療法なども開発されてきたのです
。最近ではt細胞を活用した免疫療法によって効果が期待されている免疫療法も存在します。
さらには免疫細胞の1つでもあるB細胞が生成している交代という時のようなものを人工的に構成することができる技術が発達したことにより1980年代から癌細胞だけを攻撃したり癌細胞が増殖する事を食い止めた例する働きを持つ抗体医薬品を使った免疫療法は開発されてきたのです。
攻撃抑制された免疫回復
近、癌細胞自体が人間の免疫による攻撃に対してブレーキをかけていることが判明しました。そこで、癌細胞が免疫細胞に対して攻撃のブレーキを解除する方法として免疫チェックポイント疎外療法という免疫療法に注目が集まっています。
どのような免疫療法か
これまでの免疫療法では免疫機能の攻撃力を高める、つまりその免疫力のアクセルを踏むというような方法が中心でした。
しかし最近ではもう一つの免疫療法として免疫の応答を抑制して分子の働きを妨げることによってえ治療する免疫療法で、言うなれば、アクセルとは反対のブレーキを外してしまうような免疫療法です。
これまでのような免疫細胞の機能を高めることによってがん細胞に対する攻撃力を高める代表的な免疫療法としては異常細胞ワクチン療法がありました。
これは生体内において樹状細胞ががん細胞からがん細胞の情報を取り込み、その情報をリンパ球に伝えることによって癌細胞を攻撃させるという免疫のシステムを活用した免疫療法でした。
それに対して、最近上述のように癌細胞自体が人間の免疫力の働きにブレーキをかけてしまい、免疫細胞の攻撃力を弱めてしまい、その攻撃を阻止していることがわかってきました。
そのため、そのようながん細胞による免疫力に対してかけるブレーキを解除することにより、免疫細胞の攻撃力を再び活発化して免疫が、がん細胞を再びがん細胞を攻撃できるようにするという新しい免疫療法は考えだされました。
この免疫療法の代表が「オプジーボ」「キートルーダ」「ヤーボイ」等の免疫チェックポイント阻害剤という新薬で、その一部はすでに日本でも承認され、がん治療に活用されるようになっています。このような免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法の場合には直接的にがん細胞を攻撃するわけではなくがん細胞を攻撃するT型リンパ球に対してその攻撃力に対して冷気をかけている風の働きを阻害するのですこのことによって、 T型リンパ球はがん細胞に対する本来の攻撃力を取り戻して抗腫瘍効果を発揮できるようになるのです。
このような「アクセルを踏む」というような免疫療法と、 「攻撃力のブレーキを外す」というような免疫療法を併用することにより、癌の治療効果が高まる可能性があるため、今後の研究に期待がされています。
例えばPD-1抗体薬はT型リンパ球が癌細胞の組織に浸透しているときに、その効果を発揮するのです。そのT型リンパ球が作り出すことができるのが樹状細胞ワクチン療法なのです。
この樹状細胞ワクチン療法では、まずはがん細胞を攻撃することができ方、体内に生成することががんの免疫療法を成功させる重要な鍵と考えられているのです。
具体的にはPD-1というものはT細胞の表面に出てくるタンパク質として京都大学の研究グループによって発見されたのです。
その後の研究によってPD-1はT細胞が活性化さ状態が続かないようにT細胞の活動を抑える信号を伝える作用があることが判明したのです。
癌の免疫ではT細胞によって攻撃されたがん細胞はこのPD-1も通してt細胞に対してその攻撃を抑える信号を流してt細胞ががん細胞を攻撃できないようにしてしまうのです。
つまり癌細胞が自らのがん細胞を守るためにチェックポイントでt細胞に対してその攻撃力にブレーキをかけてしまうわけです。
そのようなT細胞にかかってしまったブレーキを外すことができるのが、ニボルマブという抗体で免疫チェックポイント阻害剤として使われるようになるのです。
このニボルマブは活性化してt細胞の表面にあるPD-1と協力に結合してがん細胞が放出したt細胞の攻撃力を抑える信号をブロックするわけです。
そのような信号がブロックされたことによってt細胞の攻撃力に対してかかったブレーキが外されるため、 t細胞はその攻撃力を取り戻して再びがん細胞を攻撃することができるようになるわけです。
アメリカでの適応
米国においては2011年3月にイピリムマブがメラノーマ(悪性黒色腫)の免疫療法の治療薬として承認されたことをきっかけにして、 2014年9月にはペンブロリズマブ、そして、その年の12月にはニボルマブが次々に承認されたのです。
日本においても世界に先駆けて2014年の7月にニボルマブはメラノーマに対して承認され、翌年の7月にはイピリムマブという免疫チェックポイント阻害剤を使った免疫療法に対して承認されました。
さらにニボルマブの適応範囲については、2015年12月に非小細胞肺がん適応範囲が広がって2016年の4月段階では、腎細胞がんやホジキンリンパ腫に対する効能・効果の追加が申請されているという状況になっているのです。
この免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法が有効である。元は多岐にわたると考えられておる。その適応となる癌疾患はさらなる拡大を目指し、世界中で臨床試験が実施されているのです。
このような免疫チェックポイント阻害剤という免疫療法は、人間の体の中の免疫力を活用することによってがんを治療するという薬剤なので、これまでの抗がん剤のような薬剤とは全く違うメカニズムでがん細胞に対して作用するのです。
このような免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法の登場はがん治療の歴史を劇的に転換させ、がんの免疫療法の全く新しい時代を切り開いているのです。
副作用について
前述のような万能とも言える免疫チェックポイント阻害剤によるがんの免疫療法において一生の元で効果を上げている薬の1つには抗PD-1抗体によるがんの治療があります。
しかしこの免疫療法の後で痛みを伴うことのない甲状腺炎を発症するという症例が10件あったのです。甲状腺とは、彼らの中のエネルギーの生産を始めとして様々な体のバランスを整えるために欠かせない期間です。
その働きは過剰になったりにしたりする場合には多くの問題が起こってくるのです。そのうちの6人は一時的に甲状腺機能亢進症となりました。
残りの4人は抗甲状腺性の抗体が陽性になったのです。免疫チェックポイント阻害剤によって免疫のブレーキが説かれてしまい、甲状腺という自分自身の組織を攻撃するという仕組みが意図せずに働いてしまったと考えられています。
このような副作用に対する対策としてはβ遮断薬もしくは甲状腺ホルモン補充療法による補助的治療という日曜は必要になる可能性があるのわけです。
これは日本でも広がりつつある逆裁ですので医師も患者も知っておく必要があると言えるでしょう。